第166章 子供に困っているわけでもないのに、なぜ彼女の子供に執着するんだ?

中尾美希は、長谷川栞が証拠なんて出せるはずがないと踏んでいた。

そして実際、栞には証拠がなかった。

中尾美希はぐっと手首を引き抜くと、ぶらぶらと振ってみせ、薄く笑う。

「栞さん。証拠がないなら、私は帰るね。次にまた似たようなことがあっても、勢いで突っ込まないほうがいいよ。世の中、私みたいに気が長い人ばっかりじゃないし」

長谷川栞の顔から、さっと温度が消えた。

「中尾美希。今は証拠がないだけ。でも、これからも私につきまとうなら――警察署に突き出してやるから」

前は油断していただけだ。次は違う。

中尾美希の表情が一瞬固まる。数秒置いてから、吐き捨てるように言った。

「誰を脅してん...

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